2025/9/12
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呼吸の大切さ 1(出してから入れる) |
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![]() 小児科医の真弓定夫先生の著書「超寿の条件」を読みました。 その中から呼吸の大切さをご紹介致します。 きちんとした本来の呼吸だったのは50年も前の話。呼吸を自ら律していかなければ長寿は叶わないのである。 本来、呼吸と言うのは「吸う」よりもまず先に「吐く」ものである。 私たちは、呼吸だけでなくお金でも物でも、とにかく「入れる」ということを先に考えがちであるけれども、そういう欲張った考え方はそろそろ改めていい時期なのではないか。 「入れてから出す」というのは様々な意味で自然の理に反したことだからである。 呼吸に関して言えば、人が生まれ落ちて最初に呼吸を始める時のことを考えてみればよい。 出産を経て肺呼吸に切り替わる際、スムーズに行う為には、まず、肺や気管に溜まった内容物を出し切らなければならない。 このことを無視して、肺の中の空気を吐き切らないうちに吸うという間違った呼吸を続けていると、体のどこかしらにひずみが生じてくるし、肺の機能を低下させることにもなりかねない。 人の肺の中にある空気は呼気、吸気、残気の三つに大別できる。 人間の肺はどんなに努力して息を吐き出しても、どうしてもいくらかの空気が残ってしまうようにできている。これが残気である。 肺いっぱいに新鮮な酸素を入れてやるためには、肺の中に残っている空気を可能な限り吐き出せばいいのである。 「吐くのは人間の意志、吸うのは天の摂理」人間の体は息を吐けば自然に空気が入ってくる仕組みになっているのだから。 ところが最近では本来の呼吸ができていない人が多いのである。「呼吸」ではなく「吸呼」だと指摘する人もいる。 それは出産直後の新生児に対するケアが自然の流れを無視した人工的なものになってしまったからである。 現在、ほとんどの病院では経済性や効率といったものが優先されている。正月の三が日に生まれる子どもが極端に少ないとか、土曜・日曜生まれの子どもが減って火曜生まれの子どもが増えたというのは、病院が経営上の都合によって出産を管理しているためである。病院の職員旅行に当たらないようにというひどい例もある。 そんなふうに出産をコントロールする病院では、子どもが肺呼吸を開始して体の中に十分に酸素が満たされるのを待ってから臍帯を切るというような時間の無駄はつくらない。 子どもが肺呼吸に切り替えようとしている途中で、まだ酸素を送り続けている臍帯を切ってしまうのである。
だから子どもは、肺の準備が整わなくても無理やり呼吸を始めなければならない。当たり前の生まれ方をしていないのだから、当たり前の呼吸ができなくても不思議はないのである。経済とか効率とかいうものによって、私たちは、生物としての基本である呼吸さえも失いかけているのである。 |
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